私たちが毎日何気なく送っている日常生活は科学に支えられているといっても過言ではないかもしれません。例えば、私たちが食事をすると、体の中の消化酵素が働き、飲み込んだ食べ物を小さく分解してから小腸で吸収しやすいようにします。このプロセスには化学がしっかりと関わっているのです。

例えば、でんぷんを取り入れた時、口の中でアミラーゼという酵素が働き、でんぷんを分子がもう少し細かい麦芽等に変化させます。けれどもそれだけでは吸収するのにまだ大きすぎますので、胃の中でアミラーゼという酵素がさらに小さなブドウ糖に変化させ、より細かくします。そうなると小腸の壁から吸収しやすい形になりますので、私たちはブドウ糖を栄養素として体の中に取り入れることができるのです。このような消化というプロセスには化学的な反応が関係しており、毎日の食事を摂る際に消化プロセスについて知っていると、食べものを口にするという当たり前の行為がとても興味深くなっていくでしょう。

このように私たちの体内の消化酵素で消化される物質には他にもたんぱく質があります。たんぱく質はアミノ酸という小さな分子に分解されて吸収されます。実はこのアミノ酸は、私たちが筋トレをすると筋肉を形成するために利用され、体の中で合成されてたんぱく質となり、筋肉の一部になるのです。たんぱく質を口にすると、体の中に取り入れるために分解されてアミノ酸になります。今度はその取り込んだアミノ酸を私たちの体の中でたんぱく質に戻し、体の一部にするというプロセスも実際に起こっています。そうなると、筋トレをする時に筋肉をつけたいなら、食事を意識することが大切だという考えが浮かんでくるのではないでしょうか。

日常生活にある化学の世界に気を向けることで、実際に生活によりよく役立つ化学的な考え方をすることができます。そのことで、何気なく送っている毎日の生活がさらに意味を持ち出すのは化学の面白さの一つと言えるでしょう。

化学がどのように利用されているのかということを知り、実際の生活に役立てることで、化学はさらに面白くなっていきます。他にも私たちが普段何気なく歩いているときの行動そのものも、実は体の中の化学的な物質が影響して複雑な運動として成立しています。このように、毎日の生活の中にある化学にまつわる面白くて興味深い事実を一つ一つ知っていくことで、私たちの生活に対する見方がさらに深まっていくでしょう。