私たちが日ごろ口にするガスという言葉は英語です。日常ではガソリンを意味することもありますが、化学の世界においては気体を意味します。

物質の状態には気体と固体、液体の3つがあります。気体は粒子の間の引力が弱い状態で、体積や形は自由に変化できます。もちろん密度も小さいです。ある物質が気体の状態に変化するのは、液体が加熱されて気化するか、固体が加熱されて昇華する場合です。逆に固体は冷却によって凝縮して液体になるか、昇華して固体になります。

気体の法則と呼ばれるいくつかの基本情報があります。1つめはボイル・シャルルの法則です。一定量の気体の体積は、その圧力に反比例し、絶対温度に比例するというものです。体積と圧力の関係がボイルの法則で、体積と絶対温度の関係がシャルルの法則ですが、ひとまとめにされることが多いです。2つめはボルトンの分圧の法則です。複数の物質によって構成される混合気体の全圧は、各成分気体の圧力の和に等しい、というものです。気体の正体が粒子であることを考えれば当然と言えるでしょう。

気体には状態方程式があります。圧力と体積を乗じたものが、粒子の量と温度を乗じたものに比例することを意味します。ただしこの方程式が成り立つのは理想的な場合だけで、実際には分子の大きさや分子間の引力によって成り立たなくなります。理想的な場合とは高音および低圧の場合です。なぜならこのときは粒子の間隔が空いているため、その大きさと引力が無視できるほど小さいからです。

化学というと周期表を思い浮かべる人も多いと思います。あの表の右端に並んでいる原子を希ガスといいます。18族にあたり、原子番号が小さい方からまずヘリウムとネオン、アルゴンです。続いてクリプトン、キセノン最後にラドンです。 希ガスは電子の配置が安定であるから、化学変化を起こしにくい特徴があります。自然界に原子単独で存在する単原子分子です。融点および沸点は低いです。ヘリウムは水素に次いで軽い気体であり、風船を浮かせるのに使われています。これはヘリウムが空気よりも軽い性質を利用したものです。ネオンは夜の電飾であるネオンサインに利用されてきました。最近は液晶ディスプレイやLEDライトなどが多用されているため、見かける機会は少なくなりました。アルゴンは窒素と酸素の次に空気中に多い気体です。空気中の0.93%を占めています。クリプトンはカメラのフラッシュやストロボに利用されています。キセノンはX線を減らす役割があるから、X線検出器に利用されます。ラドンは放射能泉として健康に効くという説があります。日本にもラドン温泉と呼ばれるところが点在します。