アミンとアミドを混同している人は少なくありません。高校や大学で化学をしっかりと学んだ人でなければ、これらは同じものだと認識する可能性が高いものですし、昔習った記憶があったとしても上手く違いを説明できない人はいるはずです。どちらも身近な化合物に含まれるものなので、差異を理解しておいて損はないと言えます。ケミストリーを専攻していなかった人も、このきっかけに2つの違いを説明できるようになると良いでしょう。

身近な科学: アミンとアミド

2つとも有機化学の分野で頻出する化合物であり、両方とも窒素原子が含まれている点が同じだと言えます。けれども、詳細な構造や性質には明確な違いがあるので注意が必要です。アミンとアミドの大きな違いは構造中にカルボニル基が存在するかどうかであり、前者はこれを持たず後者はこれを持っています。カルボニル基とは炭素と酸素による二重結合を持った官能基であり、これの有無で2つの化合物を見分けることができるようになります。

それぞれについて、より具体的に知ってみましょう。アミンはアンモニアの誘導体であり、アンモニアの水素原子がアルキル基で置換されていることが特徴的です。一方でアミドはアンモニアの水素原子をアシル基で置換しており、アンモニアの窒素原子にはアルキル基あるいはアリール基が結合されています。こうした官能基がついていることによって、こちらにはカルボニル基を見ることが可能です。

更に詳しく見ていくのであれば、それぞれの定義を比較することができます。アミンはアルキル基と結合した1個以上の窒素原子から構成される有機化合物であり、アミドはアシル基を有する脱プロトン化アンモニウム基から構成される有機化合物です。アミンから1分子のH2Oが取れて縮合すると、アミドとなることも知っておくと良いでしょう。前者は塩基性を示して比較的低い沸点を持ち、後者は酸性を示して比較的高い沸点を有するという違いもあります。

このように、詳細を見ていくと2つの有機化合物は違ったものであることが理解できるはずです。名称が似ていることから同じものの別名だと勘違いしてしまう人もいますが、同じものではないので注意が必要だと言えます。同じものだと勘違いしていると人前で間違った知識を披露して恥ずかしい思いをすることがありますし、ケミストリー分野の話をするときに意味を受け取り間違えて困ってしまう可能性もあるので、正しい知識を覚えておきましょう。