私たちは色々なものに取り囲まれて生活をしていますが、その性質を科学的に明らかにするためにはその物質がどのような化学式を持っているかということを知ることが重要です。なぜならば、多くの場合物質の性質は化学構造に由来するからです。化学構造が同じようなものは同じようなものは、似た化学的な性質を示します。この類似性から構造を知ることによって、ある物質の性質を推定することが可能となります。色々な事情で、ターゲットの物質をすぐには手に入れることができないような際にも、化学構造の類似性を持つものを調べることによって目的とするものの性質を推定することが可能です。
アルコールという名前は多くの人によく知られています。例えば、お酒の中に多く含まれるものがそれです。お酒の中に含まれるものは、エチルアルコールと呼ばれるものです。飲むと酔っ払いますがこれがその特質です。このように身近なものなのですが、化学式を見てみるとその特徴はOH という外界に接する末端機を含むところです。このOH基があることによって、非常に水になじみやすい性質を持っています。酔っぱらうというような影響もこの構造に由来します。
その化学的な性質としては、先ほども述べたようにOH基を持っているということから水に溶けやすいというものがあります。加えて炭素がたくさんあるということから有機溶媒にも溶けることが可能です。ちょうど水に溶けるものと溶けないものの中間的な性質を持っているという風にも言えます。そのような意味で、油汚れを落とす時にも使うように大変私たちの身近なものとなっています。
アルコールと構造が違うのですが、同じような化学式を持ったものにエーテルがあります。この場合には、外に接する部分にOH基がありません。OH 基の酸素に相当する部分が、炭素と炭素の間に含まれるような構造をしています。このようなことから、エーテルは水とは馴染みにくい性質を持ちます。むしろ水に溶けない油になじみやすいという性質を持っています。そのために油のようなものを溶かすための溶媒として利用されるということが多くあります。同じ化学式を持っていて構造が違う物質のことを異性体と言います。アルコールとエーテルの間には、異性体が数多く存在します。全く同じ化学式でも性質が非常に異なりますので、取扱いの際には注意が必要です。私たちに身近なものとしてよく知られているものに、香り成分があります。果物などで物の良い香りは、多くの場合エーテルであるということが知られています。